彫金とは
金属の表面を鏨と金槌を使い、削る、彫り込む、叩く という作業を駆使し、模様付けを行っていくのが彫金である。花鳥風月をモチーフとした模様や、家紋や文字の彫り込み、時には鳥の羽をスジ彫りするといった細工を施す。 塗装、着色の仕上げなど工程の前後に活躍するが、金型の細かい調整など初期工程で使用される場合もある。花瓶や香炉、仏具品に適用される。
>>精緻な表現
線彫り
金槌を使い、鏨の先端で金属を彫り、凹線で模様をつくる彫金の基本的な技法。線の太さと細さ、彫りの浅さと深さを絶妙な力加減で調整することで、筆で描いたようななめらかな模様を表現することができる。
>>線彫りの応用
片切彫り
線の片側は面に垂直のまま、もう片側のみを斜めに彫る技法。斜めに彫りこむ角度を変えることで模様に強弱をつける。線彫りよりも複雑さが増すので、より深みのある表現になる。主に文字の彫金に使用される。
>>彫金の装飾
象嵌
鏨を使って溝を彫った後に、異種の金属を嵌め込む技法。真鍮の表面に銅を、銅の表面に銀を、といった具合に異種金属を組み合わせることで立体感や色、テクスチャを変化させ、違った表情の美しさを表現していく。
>>箔(はく)で魅せる
布目象嵌
金属の表面に細かく筋を入れるように彫り、その上に金箔・銀箔を叩きながら嵌め込む象嵌技法。箔を嵌め込んだ仕上がりが布目のような模様をしていることからこの名が付けられた。
>>叩いて、魅せる
打ち出し
金属の薄板を金づちや鏨で叩いて伸び縮みさせることで金属表面を変化させ、立体的に形を変える技法。この金属を叩くという技法で、一枚の金属版から立体的な花や動物などを形にしたレリーフ制作も可能となる。
>>彫金の仕上げ
筆メッキ
筆メッキ技術を利用したメッキ加工を指す。専用筆具を使用し、部分的にメッキしていく。彫金した部分をコーティングすることでその部分をより煌めかせ、美しさと華やかさを際立たせる。